デパートやスーパー、コンビニに並ぶ一つ一つの商品が、どんな過程を経て陳列棚に並べられているか考えたことがありますか。そして私たち消費者は、買い物をするとき、何を基準に品物を選んでいるのでしょう。例えばチョコレートを買うとき、私たちは、安くて、美味しくて、安全なものを選びます。つまり私たちの商品選択の基準は「価格」「品質」「安全性」が一般的です。
近年、チョコレートの原料になるカカオ豆の生産地で、幼い子供たちが強制的に働かされていることが問題となっています。安くて美味しいバナナを供給するために大量の農薬使用が、環境破壊や現地の人たちの健康被害を引き起こしていることが伝えられています。便利なプラスチック製品の残渣が太平洋の真ん中のミッドウェイ島のアホウドリの命を奪っていることを知っている人はどのくらいいるでしょう。
買い物の商品選びの基準に、環境、人、生き物などの視点を持とうというのが「エシカル(倫理的・道徳的)消費」の考え方です。
身近な消費行動を地球規模で考えようと、私たち「みどりの市民」では、チョコレートを通じてカカオ(チョコレートの原料)産業の児童労働の現状と私たちの生活とのつながりを知るために、ワークショップを実施しました。参加者がロールプレイで、ガーナーの生産農家や日本の消費者を演じて,学校に行きたくても安い賃金で働かざるを得ない厳しい現実を理解しました。身近な商品の裏側に思いを馳せ、自分たちの暮らしは世界とつながっていることを知る必要があります。
私たちの便利な消費生活により、傷ついてしまうものがあるなら、それらに配慮した選択をしなければなりません。それはフェアトレードのコーヒー、マイバッグの持参、自然エネルギーの利用、障がい者支援の商品の購入、地産地消などです。
エシカル消費は、地球上に存在するすべての命のことを考え、持続可能な社会を実現するための第一歩です。それは日々の暮らしの中ではじまります。何故なら商品を選ぶのは私たち一人ひとりなのだから―。
執筆: NPO法人みどりの市民: 事務局長 渡辺ヒデ子
長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2018年8月18日掲載