「チャレンジする力は『安心』から生まれる」永井佐千子

川中島町で2021年12月にスタートした「学び舎めぶき」。社会に出てから行き詰ってしまった人たちがもう一度自分の「本当の想い」を掘り起こし、チャレンジしていかれる場にしたいという想いで活動を進めています。

事務局の壁に「大丈夫」の文字—自分が今、大丈夫かどうか気付く力も大切


立ち上げから早半年。現在、大人だけでなく、小学生や中高生の利用も増え、幅広い年齢層での交流が生まれています。最初はとても不安そうな、緊張した面持ちで来られた人が、話をしているうちにどんどん笑顔になっていき、「希望が持てました。また来ます!」と、とても良い笑顔で帰っていく姿を見て、私が勇気をいただいています。

チャレンジする力は「安心」から生まれます。肩の力を抜き、自分の気持ちを受け止められると、そこで初めて「やってみよう」という力に変わります。ただ「がんばれ!」と言われても、それは前に進むエネルギーにはなりません。

学び舎めぶきでは、「安心感」を得られるようにするために大切にしていることが二つあります。一つ目は、自分で「大丈夫」と思える心を育むこと。そのために、学び舎めぶきの運営元である一般社団法人世界マザーサロンのオリジナルメソッド「心の木を育てよう」をベースに、さまざまな角度から対話の機会を設けています。

もう一つは徹底した風土作り。陰で人の悪口を言わない。失敗を笑わない。とても基本的なことです。人間なので合う・合わないはあります。それを我慢しなければいけないのではなく、自分は何が嫌なのか、どうしたら良いかを考え、提案し合える力をつけていかれたらと考えています。そして、失敗しても大丈夫、と思える環境づくり。そんな日々の意識の積み重ねが、「ここなら大丈夫」と思える安心感につながっていくはずと考えています。

失敗を恐れず、色々やってみると、そこからまた違う世界が見えてきます。今、農業や食品加工、縫製などの事業を立ち上げ、雇用につなげることを目指していますが、ゼロから生み出す大変さや喜びをみんなで共有し合いながら前に進んでいます。自分の未来を切り拓く力は誰にでもあるということを一人でも多くの方に伝えていきたいと思っています。

執筆: 一般社団法人世界マザーサロン代表理事・学び舎めぶき代表
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2022年6月18日掲載