食品ロス削減法と市民の意識改革ー美谷島越子(フードバンク信州事務局長)

食品ロス削減法と市民の意識改革 

 

2019年5月24日、国会において「食品ロス削減推進法」が成立しました。

 食品ロスとは、廃棄される食品のうちまだ食べられる期間内であるにも関わらず捨てられてしまう食料のことです。

 日本の食品ロスは2016年度の推計で643万トンに上っており、国民1人当たり毎日お茶碗1杯のご飯を捨てるのと同じ量になります。食品ロスには、企業や小売業などから出される事業系ロスと一般家庭から出される家庭系ロスがあります。643万トンのうち、事業系ロスが352万トン(54.7%)、家庭系ロスが291万トン(45.3%)となっています。

 「食品ロス削減推進法」の成立をキッカケに注目したいのは、食品ロスの約半分近くは家庭から出ていることです。食品ロス削減には行政や各企業においてロスを出さない仕組みづくりに取り組んでほしいと期待すると同時に消費者である私たち市民一人ひとりの毎日の生活に中での意識改革と実践が大きなカギになると言えます。

 買い物で期限の迫った食品を避けていないか、使いきれない食品は買い込んでいないか、食べきれないほどの料理をしていないかなどなど、毎日の生活の中での一つ一つの小さな積み上げが、時間はかかるけれども大きな力になるのではないでしょうか?
 
 食料をムダにしない生活を家族で取り組むことによって、子どもたちにも自然に伝わっていけば、将来食品ロスが限りなくゼロに近い社会も夢ではないのかなと・・・。

 

フードドライブは食品ロス削減の意識啓発と市民参加の場です

 

 
 消費者である市民の賢いロス削減の実践が、社会的な大きな流れになれば、食料を提供する企業の意識も動かし、事業系ロスの削減にもつながるのではないかと思っています。 

 それでも、どうしてもロスになりそうな食料が出そうになったら、廃棄する前に、必要としている人や場所で有効に利用できるような社会的仕組みがあればよいと思います。フードバンク信州は、そんな食料循環型の社会を目指しています。

「食品ロス削減推進法」は他人事ではないと思います。

 

執筆: 特定非営利活動法人フードバンク信州 理事・事務局長 美谷島 越子

長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2019年6月15日掲載

 

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