#「信州型やまほいく」が、子どもたちの未来を拓く

「信州型やまほいく」が、子どもたちの未来を拓く

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文責 ナガクル編集デスク 寺澤順子  協力: 上田女子短期大学
 2021.3.28

「自然保育」「やま保育」「森のようちえん」「野外保育」・・・。

信州の自然や、豊かな地域環境を生かした「信州やまほいく(信州型自然保育)」。長野県が認定制度を作り、6年目を迎えます。2021年3月時点で225の認定団体が、県のホームページで公開されています。

「やまほいく」とはなんなのか。その歴史と、現場の保育士たちの声、その意味と効果について、長野県上田市にある上田女子短期大学が「信州上田 “やまほいくの里山”プロジェクト」を立ち上げ、検証しました。

※筆者は、研修会、鼎談、学生の感想などを、原稿化・編集を担当しました。大学の理解を得て、内容について一部を紹介します。

森のようちえんは、1983 年長野市で全国初の開始

上田女子短期大学・信州大学 大学連携事業 第 13 回合同学習会の講師、内田幸一さんは、日本における「森のようちえん」の第一人者として知られています。1983年から飯綱高原で自然の中で森のようちえんをスタート。現在は飯田市で「野あそび保育みっけ」という小さな認定こども園を運営しています。

講演で内田さんは、「子どもたちは、幼児期から小学生にかけて、自然の中で心地よい色々なもの、面白さ、楽しさ、ワクワク感などを感じます。自分の五感を使って自然の中の事象や、人との関係性をたくさんつかみ取ることができます。」そしてそれが選択する力につなが。「この地球に生まれて、その中で生きていく人間として、社会を作っていくには何が一番大切なのかを、自分たちのつかんだ幼い頃の感性で、決めて欲しいなと思っています。」と述べています。

最後に、自然保育などの言葉の定義付け、「森のほいくえん」の基準化で、国などの行政の制度の組み立てや協働、そして理念法の整備などにも関わってくると言います。40年の時を経て、全国で自然保育を実践し、その効果や定義がすこしずつ明確化してきたとも。そこで、こうした大学の研究者や学生が、さらに研究を進めていくことの重要性を研修会の中で訴えました。

自然保育は想像力や問題解決能力につながる

「鼎談1」では「幼児期から学童期につなげたい育ち-自然保育の中にある学びを考える-」をテーマに、自然を取り入れた保育を実践している園の園長2人と、子どもの人格形成の基礎を培う時期に、自然を活用した保育を行うことがなぜ大事なのかを、実践事例を元に考えました。

信州大学教育学部准教授、髙栁充利さんがアドバイザーとして加わり、園児が泥んこになって遊ぶ中で、水を運んで川をができて、トンネルを作っていくという様子を聞き、「子どもの学びは人類の文明の発見をなぞっている以上のことが起こっている」ということばを引用して、その経験の大切さに言及しました。

また、「大人を満足させることだけが「いい子」の条件になってしまったときには、自分の満足・納得よりも他人に気に入られることが優先されているともいえます。(中略)どうしたら自分が一番満足し、本当に胸を張って後悔しない人生につながるのか、という感覚にもとづいて選択ができるかどうか。それは、自分の人生はもちろんのこと、自分の家族にも、さらには世の中にも、少なからぬ影響を与える。」とのコメントが印象的でした。

ホームページに研修会、鼎談、学生の感想が掲載されています。

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また、上記、ホームページに掲載した鼎談と講演会のダイジェスト版をも一部に掲載した、同短大が「やまほいくハンドブック」を発行しました。お問い合わせは上記、ホームページから大学まで。


最後に、長野県の発表によると、小学校以上の不登校が増加傾向にあります。また、若者の自殺も社会の大きな課題となっています。

幼児期の環境や教育がその原因であるとは言えません。しかし、改善策の一つとして、自然保育を取り入れることによって、成長過程で、自己肯定感が増したり、自分で課題を解決する能力、また他の仲間とコミュニケーションをとって楽しく物事を作り上げていく力が培われることは、今回の上田女子短期大学のプロジェクトで明らかになってきました。

さらに研究が進み、指導者の育成はもちろん、社会全体の制度が整っていくことを期待します。

信州の自然や、豊かな地域環境を生かした「信州やまほいく(信州型自然保育)」。長野県が認定制度を作り、6年目を迎えます。2021年3月時点で225の認定団体が、ホームページで公開されています。
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