忍者の姿で街へ潜入する。
チャンバラで敵の忍者と戦う。
そんな子どもの時アニメや漫画で見た光景が、実際にあるとしたら。
きっとドキドキワクワクすると思いませんか?
「忍者まちをはしる」
NPO法人「あそび環境Museum アフタフ・バーバン」は、私たちが日常生活で忘れかけている、遊びを通じた多くのプログラムを全国で展開している。
「一番最初に法人の名前を言ったとき、だいたい聞き返されますね」
北信越事務所所長で専任スタッフの清水洋幸(しみず ひろゆき)さんは、笑いながらそう言った。
アフタフ・バーバンはアラビア語で「扉よ、開け」の意味。
1984年に、東京演劇と教育の会より〈あそび・劇・表現活動研究会〉として発足された。
ファミコンが世に出てきて、子どもたちの遊びが「外から内へ」と変わっていった時。
児童館の職員、学童の職員らがメインとなり、各地の実践報告をする会だった。
実践報告があつまり、場遊びなどの実践が積み重なり、研究会としてプログラムが組まれるようになった。
清水さんは東京学芸大学在籍時にアフタフバーバンの活動に参加し、卒業後そのまま就職。専従スタッフとなった。
1999年に、団体は全国的に活動を拡大。
学校では週休二日制が始まり、土曜日の子供たちの活動に注目が集まっていたため、プログラムを提供し、「遊び」を広げる活動がより活発になった。
このころから子どもだけなく、大人から高齢者向けのプログラムも実施。
2005年にNPO法人として設立。
当初5人だった専従が、10人になった。
本拠地である東京事務所から、九州、北信越、神戸と各所に事務所を設立。
「地域や街を混ぜ込みながら、かかわりを創出していくことを大切にしています」
写真の「忍者まちをはしる」は、2019年6月1日に長野県岩村田商店街で実施された。
集まったのは、30名の親子。
忍者に扮した子どもたちが商店街を回り、お店の人たちや地域の人たちからヒントをもらいながら道場主を探すというプログラム。
普段なかなか交流のない子どもたちと地域の大人が、プログラムを通じてコミュニケーションをとることができる。
依頼の多くは口コミだという。
「遊びを依頼する、ってなかなかピンとこないと思いますが、ありがたいことに私たちのプログラムや講演、活動に触れた方々が他の人たちに紹介してくれる」
保育園や病院など、人にかかわる仕事をしている職員への研修をすることもある。
子どもたちや患者との豊かなかかわりをつくるために、まずは職員同士が遊び心を持ち、気持ちに余裕を持ってもらうことが目的だ。
「遊びはその人の個性を表現するんです。子どもたちが集まって遊ぶ経験が少なくなり、そのまま大人になると経験不足で壁にぶつかったときに精神的に参りやすいんだと思うんです」
禁止や管理、規制が多く、今は子どもたちがゆったりとありのままを表現したり、大声を出し遊べる場が少なくなっている。
あるプログラムに大学生が参加したことがあった。
終了後の感想で、「自分をここまでさらけ出して表現をしたのは初めてです」と言ったのが印象的だった。
その学生は今まで勉強や塾、習い事など親や学校の先生たちに言われるがままやってきたが、自分がない、ということに大学に入って気付き、途方に暮れていたそうだ。
「人が好き、人と何かをすることが楽しい!と感じてほしい。人との関係は大変なことももちろんあるけど、総じて楽しい!って思ってほしい」
最後に今後の展望を聞いた。
「より地域性を出していきたいと思っています。
地元の人たちと手をつなぎながらやっていきたいです。
自分たちのイベントのあとも、つながりがなくならず、より地域の絆が強くなっていってほしいので、その地域に根付いたプログラムや活動を展開していきたいです」
意気込みを熱く語る清水さんの視線の先には、新しい扉の先が見えているのかもしれない。
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