一般社団法人医ケアの輪 代表理事 山本里江さん 

一般社団法人医ケアの輪は、医療的ケア児※1の保護者同士の交流を目的として2020年に設立されました。現在、SNSを利用した情報交換や動画を使ったバリアフリーマップの作成などに取り組んでいます。

代表の山本里江さんの次女は、医療的ケア児で車いす生活をしています。山本さんは長女の子育て経験から、次女が立てないなどの成長の違いに早く気づいたそうです。それが「レット症候群※2」と診断されたのは5歳になってからでした。

「学校で専門的な支援を受ければ、本人も楽しく生活できる」との判断から、次女を養護学校へ入学させることを決めた山本さん。中学部時代の誤嚥性肺炎がきっかけで喉頭器官分離と胃ろう処置を受けます。家でのケアも必要となる中、病院と家でのケアの違いなどに悩みはじめたそうです。「同じ立場の保護者はきっと困っているのではないか? 解決するために親向けの本があるといいのでは?」との着想から、クラウドファンディングに挑戦し、『みんなで楽しむ 医ケア生活』という冊子を作りました。

最近では今年6月に、医師や管理栄養士による講義や看護師による注入の手技実演を交えた「ミキサー食教室」を開催。約50人が参加し、第2弾の開催を希望する声も多く挙がっているそうです。

将来を見据えた次女の進路選びなど、冷静で現実的な行動について尋ねると、「次女の病気が治るのならいくらでも泣くけど、そうじゃないから」と語ります。今後も無理なく活動を継続していくとしながら、「次女を産んだことにより、色々な学びが得られていることがありがたい」と結びました。

※1 医療的ケア児:人工呼吸器による呼吸管理や経管栄養、たんの吸引、導尿など、医療的ケアを日常的に必要とする子どもたちのこと

※2 レット症候群:遺伝子変異が原因で、一旦獲得した発達が退行していくという特徴を持った疾患

■団体情報
一般社団法人 医ケアの輪

■プロフィール
長野市在住。毎晩のこねないパン作りが楽しい!(パン教室のライセンスあり)。 最近は3歩どころか1歩も歩かずに今思いついたことを忘れることが多くなり、大丈夫か?私…(笑)

(記事初出:市民協働サポートセンター発行「機関紙まんまる」2025年秋号)