いとぐるまの会は、自閉症という診断名で子どもを見るのではなく、一人ひとりを大切に、細かい配慮を必要とする子ども達を育てている親の会です。子どもの年齢は6歳から40代。主な活動は年数回のおしゃべりサロンです。
サロンの話題は家族の「あるある話」です。「新聞が届いたか見てきて」と頼むと「届いていたよ」と本当に見て来るだけで新聞は持ってこない(持ってきてよ!)というのはよくある話です。「テレビは登るよね」「液晶テレビは消耗品だよ。うちは3台目(笑)」というハードな話題もあります。悩みは違いますが、どんな話をしても否定されず「あるある」と笑い話になるのが特徴です。障害のある子の入れる保険、歯科医や耳鼻科の口コミ、養護学校高等部卒業後のリアルな生活など、少し先を行く先輩の話は参考になります。
自閉症と聞くとどんな人を想像しますか?漢字の雰囲気から「自ら閉じこもる」と思われる方もいますが、実際は違います。知的障害があり発語がないと、言葉の理解ができず何も考えてないと誤解されますが、伝えたい思いはあります。最近は、自閉症ではなく自閉スペクトラム症と呼ばれるようになりました。スペクトラムとは「連続体」。自閉症の特性が濃いか薄いかであり、全ての人が特性を持っているとも言われています。特性が濃いから障害が重いというわけでもありません。眼鏡の度数を変えるように、その人に合った支援を受けることで生活がしやすくなります。
毎年4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デーです。2017年はクラウドファンディングを行い、合計111名からご支援をいただきました。団体からも寄付をいただき、2017年から5年間、シンボルカラーの青色で善光寺をライトアップできました。ありがとうございます!昨年は善光寺を青く染められなかったので、自分の髪を青く染めました。私らしくない行動に知人は驚き、街を歩くと知らない人に話しかけられ、「これはね…」と説明。思いがけず啓発になりました。

そして今年2025年は復活します!4月2日18時半~21時、善光寺を青く染めます。ぜひ青い物を身に着けてお越しください。
執筆:長野県自閉症協会北信地区いとぐるまの会 会長 花石多希子
初出:長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2025年3月掲載