子どもたちに体験や学びを、みらいハッ!ケンプロジェクトの参画パートナーが交流

地域での「やってみたい」を応援し合える仲間と出会う場!「みらいハッ!ケンプロジェクト参画パートナー交流会 -夏-はじめましての会」が2025年7月10日、長野市ふれあい福祉センターで開かれました。

「みらいハッ!ケン」は、長野市内の小中学生へ1人30,000ポイント/年間を配布し、ポイントを活用した体験を通じて、子どもたちが自分の好きな活動を見つけ、自己肯定感を育みながら成長できる環境を提供するプロジェクトです。

交流会には、子どもたちに体験や学びの機会を提供している参画パートナーと、「子どもたちと体験・学びをつなぐ」役割を担っている地域コーディネーター、あわせて約30名が集まって、3つの取組事例を聞き交流しました。

みらいハッ!ケンプロジェクトは、2023(令和5)年度に経済産業省の「未来の教室」実証事業として、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが「クーポン型助成を活用した地域における学び・体験創出事業」としてはじめました。所得制限を設けず、全小学生・中学生を対象に体験の機会提供を軸にした事業は、全国初の取組です。

2024(令和6)年度の利用対象者は27,532名。このうち約68%の18,707名がポイントを利用しました。課題はポイントを利用しなかった約32%で、体験や学びの機会につながりにくい子どもがいたことです。

地域コーディネーターが相談や支援などきめ細やかなサポートを行って、すべての子どもが本プロジェクトに参加できるように努めています。

長野市が保護者向けに配布したチラシの一部

子どもが参加しやすい仕組みを考えた3つの事例

1.松代の文化で町と人を未来につなぐプロジェクト

NPO法人 夢空間松代のまちと心を育てる会は、モール形式(さまざまなイベントやショップ、アートなどが集まる空間。たくさんの人々でにぎわう交流の場のような感じ)で、入場時にポイントでチケットを手に入れ、好きなところをまわってチケットを使い体験を楽しむことができる仕組みを取り入れました。だれでも気軽に参加できるのがポイントです。

会場を歩きながら「やりたいこと」を探すのも楽しみで、チケットを途中で買い足すこともでき、「1日中楽しめた」との感想も。数々あるプログラムの中からスマホやパソコンを使って「参加できることを探す」のはとても手間ですが、モール形式は「参加のハードルが下がった」「参加しやすかった」、そして「いままでポイントの使いどころがなかった」という人もたくさん訪れたそうです。

「松代の文化で町と人を未来につなぐプロジェクト」の様子は、松代テレビ局のYouTubeで見ることができます。

2.フリースクールへ出向いてプログラムを実施

NPO法人 食育体験教室・コラボは、不特定多数の人がいる場所や新たな場所への訪問に不安がある子どもが参加できるようにと考え、フリースクールへ出向いた「みそづくり」プログラムを考えました。ふだん居る安心できる場所で行うのがポイントです。

茹でた大豆を手でつぶして、麹と塩をパウチ袋の中で混ぜるだけの簡単で手軽なみそ仕込み。混ざりぐらいを見ながら自分のペースで作業できるのも楽しみです。
はじめは、距離を置いてのぞいているだけだったけれど、だんだん近づいてきて、そのうち手が出てくる、そんな感じで多くの子どもたちがみそ仕込みを体験しました。

なにで、どのようにできているか、知っているようで知らない「みそ」。
「やってみたら簡単だった」、「楽しみながら自分のみそができた」と、子どもたちも達成感を得られたようです。

取組前に「フリースクールの子どもたちは、なにかこだわりや心配があるのではないか」と心配していたという飯島さんは「やってみたら、できることが増えて良い経験になった」と言います。

3.部活動の地域移行問題も考え地元中学校で実施

とがくしっこ応援団は、中学校の部活動が地域移行された問題もあって、交通の便が良い市街地の子どもたちとはちがって「移動の足」が課題となる中山間地の子どもたちのことを考えて、地元の中学校で参加できるプログラムを実施しています。

ドローンやプログラミング、ボルダリング、スラックライン、ギターやドラムなどのバンド体験、調理など多彩なプログラムは、すべて地元の人が「子どもたちのためにやるよ」と講師を務めています。ドローン体験した子の中には「資格を取りたい」と、次のステップへ踏み出す子もいたそうです。

親が仕事だから、車がないから、親が送り迎えできないから、路線バスがなくなってしまったからといった理由で、子どもが行くことができない。足がなく行くことができないから、ポイントを使えないというケースも多いようです。

いままでは開催のための予算はなく、講師の謝礼を出すことはできませんでしたが、みらいハッケンのポイントを使うことで何とか継続できる仕組みにしようと試行錯誤を重ねています。

また、夏季限定で、魅力的な地域講師陣がステキなプログラムを提供する「カルチャーマルシェin戸隠」を開催しています。

【Yell! ~頑張るみんなを応援!~】戸隠中学校 とがくしっこ応援団(12月前半放送)
チャンネルINC長野

事例の感想を出し合って参加者が交流

参加者が分かれて輪になって交流。事例を聞いた感想を出し合いながら、自分の取組や課題などを話しました。

多く見られた悩みは「人に来てもらうための工夫、どうしたら来やすくなるか、参加してもらいやすくなるか」のようでした。

現場の苦労には、「開催場所の確保が問題で、土・日曜日は公民館の調理室が使えない」や「市が用意しているサイトが親向けで大人の文章なので、子どもが読めず伝わりにくい」などがありました。

参加者のアンケートでは、「他団体の話と事例、いろいろな人の話が聞けて良かった」といった感想がとても多く、ほかにも「いろいろなやり方や工夫があることがわかり参考になった。刺激になった。次への勉強になった。」「思っていたよりも幅広い使い方ができるポイントだと知った。」「いろいろなアイデアとヒントをいただけて良かった。」「異業種の方と話せてよかった。つながることができた。」など、成果の多い交流会だったようです。

主催した地域コーディネーターたちは、「子どもたちのことを考えるモチベーションの高い人たちが集まった。はじめて会う人も多く、よい出会いの場になった。思っていたよりニーズと成果があったので、今後も拡充して開催したい」と次の企画を考えていました。

<取材・編集> ソーシャルライター 吉田 百助