「自分を突き動かすのは、理不尽なものに対しての怒り」と話す山田さん。「原点は戦後の貧しい時代、食べられない子どもたちが周りにたくさんいたこと」。当時は困った人におにぎりを振舞ったり相談に乗ったりしていたといいます。
結婚後、夫の転勤で岡谷市に。子育てをしながら「社会とつながりたい」と点訳ボランティアを始めます。当時「支援制度がほとんどなく、障害者が厳しい環境に置かれている」と気づきます。「私がなんとかしなければ」と長野市に移転してすぐに県社会福祉協議会の門をたたきました。時は1981年国際障害者年。若手職員や市民活動家たちが集まり、ボランティア活動への機運が高まっていました。そして緑町で民家を借りてボランティア活動の拠点「どんぐりの家」の立ち上げに山田さんも加わります。子育て中の母親、障害者、お年寄りの居場所として365日開所し、ボランティアの輪が劇的に広がっていったのです。
この活動が礎となり、市ボランティアセンターの設立につながり、山田さんは県下で第1号のボランティアコーディネーターとなります。そこで9年働く中で「女性が政策決定の場になかなか関われない」と感じ一念発起し、市会議員となりました。
2009年「もう一度市民の立場から活動したい」と現職に。同時に長野大学で社会福祉を学び、卒論「高齢者の貧困」を書き上げました。「貧困が悲劇を生む」と、現在は困窮者支援や、こどもの居場所づくりにも取り組んでいます。自身の使命を次の世代にバトンタッチしたいと願いつつ、今日も社会の課題に立ち向かい続けています。
プロフィール
やまだちよこ 74才 夫と2人暮らし。自家農園で野菜作りも。
団体情報
〒381-0034 長野県長野市大字高田1029-1エンドウビル1F
(記事初出:市民協働サポートセンター発行「機関紙まんまる」2019春号)