女性起業促進の入口「起業どうしようかな?クラブ」に20人。段取り6割でGO!

「多様な働き方を知りたい」「子育て中に自分のビジネスの準備をしたい」などなど、20代から40代を中心とした女性20人が飯田市駅前の「丘の上結いスクエア」2階の「ムトスぷらざ」の会議室に集まりました。

飯田市が主催する「起業どうしようかな?クラブ」は、民間の専門家が進行役をつとめ、2023年の7月からスタートし月一回ほど開催するイベントで、飯田下伊那エリアの起業に関心のある女性を対象としています。1月16日のファシリテーターは田辺大(ゆたか)さんです。田辺さんは、「いいだ女性起業家養成講座」の講師も務めています。

「起業どうしようかな?クラブは、いわば起業の入口。まず女性の皆さんが心を開いて助け合える環境を作りたい」と田辺さんはLINEのオープンチャットを使った交流を促進し、共に生きることを大切にしています。

「飯田市・起業どうしようかなクラブ」1月16日開催の様子

女性の起業は時間をかける分、地域の継続に不可欠

参加者の自己紹介では、具体的な活動をイメージしたり、すでに取り組んでいる人もいました。「古民家を改装してゲストハウスを作りたい」「介護と美容を融合させた起業を考えたい」「着物を着て勝手に観光大使になっている」「子ども食堂を運営している」「不登校の子たちの居場所づくりをしたい」「シフォンケーキ専門店を準備中」「片付けの講師としてビジネスを発展させたい」などなどです。

まず最初に、田辺さんが起業の現状について、そのバックグラウンドを説明。「女性の場合は、社会的影響や売上はそれほど大きくなく、時間をかけて起業する人たちが多い。一方で男性起業家は大きなリスクを取り売上重視のため、地域への貢献度は低い」とその傾向をグラフで示しました。

社会の課題をビジネス的な手法で解決する「ソーシャルビジネス」起業支援の専門家である田辺さんは、「地域の持続性から見ると、女性起業家の方が勝つ。特に地域での小商いが挙げられる」と述べます。しかし、「女性起業家への投資がなかなか伸びないというチャンスの格差があり、これまでの社会だと女性は相手にされにくい現状がある。そこで、今回のように飯田市など、公的な機関がサポートを進めている」と説明しました。

「段取りってみんなどうやっとる?」3つの問い

まず段取りを考えることをテーマに3つの問いを提示し、それぞれ意見交換しました。

1.段取りの目的は? に対して、「建設業では段取り8割現場2割と言う、仕事をスムーズにするための過程」「10時にここに来るまでの逆算、こども3人を預ける準備」「目的を達成するために組むもの」「全部一度にやるのは無理なので、優先順位をつけて、効率化を図る」 と、参加者からどんどん意見がでました。

2.それはどうしてですか? では、「なぜ優先順位が必要か」を話し合いました。片付けの講師をやっている女性が、「片付けようとすると、普通の方は何も考えずに最初に収納用品を買って来ちゃうんです。そうならないように手順を提示します。使うものと使わないものを仕分けして、入れ物が必要か精査した上で購入するんです」と説明しました。

3.自身の段取りをどうしたらいい? では、「自分は段取りは苦手。収納はまず入れ物を買ってしまう人」「声を上げると助けてくれる人がいる、そんな人材が私」との意見に多くがうなづきました。そんな議論の中から、「それぞれのメンバーの頭の中にあるものを文書化するのは大事では?」との意見が。

田辺さんは「経営の定義は仲間づくり心合わせが必要。無能な組織は有能を無能化してしまう。いい組織は無能を有能化できる」と名言を述べました。

お店をオープンするという架空の事例に向けて、みんなで、段取り「工程表」を表にしてみました。

6割準備でGO! 発信力がカギに

段取りも大切ですが、「ベンチャーは6割目処が立ったらGO!でいい」と田辺さんからアドバイスがありました。また、「宣伝はいきなり最初からスタートしてもいい、発信は投資である」と話し、事業アイデアゆるゆるの段階からオンライン説明会をスタートするなど、発信していくことの重要性を強調しました。

参加者の感想では、「思ったことを見える化して計画を立てられそう」「段取りの工程表を作ることを知らなかった、今後の事業に活かしたい」「視覚化することで自分の中で優先順位が考えやすくなるのでメモしていきたい」「自分だけでなくスタッフとも工程表を共有したい」「皆さんの知恵を借りて、モヤモヤがすっきりした」「メモしながら腑に落ちることがたくさんあった」「6割準備できたらGO!という考えでいいと知れてよかった」「財務計画、戦略について本気で考えていなかった、再確認してみたい」などなど、出席者は一人一人の違った意見を自分ごとに置き換え、共感し合いました。

最後に「相談慣れしてください。起業文化を育む、志ある人たちがつながっていくことで文化が育つ」と田辺さん。終了後には希望者が、お弁当を食べながら交流しました。終始、互いのビジネスについてアイデアを出し合ったり、つながりあったりと和やかな交流会でした。

取材・執筆/ 寺澤 順子(ナガクル編集デスク)

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