子どもとアートをつなぐ「須坂みんなのワークショップ」に100人! 子ども食堂もクラファン募る

 

年の瀬も押し迫った2024年最後の日曜日、12月29日。須坂市日滝の「あっぷさいくるラボ」を会場に「みんなのワークショップ」が開かれた。

「あっぷさいくるラボ」は、愛知県から移住したカズさんこと、祝井一幸さんが、元々建具屋さんの工場だった場所のオーナーからの申し出を受け、その空間を活かして誕生したコミュニティスペースだ。カズさんは「お金かけずに、声かけて」を合言葉に、須坂市内を中心に人と人をつなぐさまざまな活動を行っている。

「みんなのワークショップ」は、これまでも小中学校の長期休みに合わせて開催し、今回で3回目。 須坂市で農家を営むピースファーム代表のトマ子さんこと、小池鮎子さんの主催。

どれもワンコイン500円以下で体験できる9種類のワークショップと、おにぎりと豚汁で200円、唐揚げも3個で250円と格安で食べられるランチの提供など、親子一緒に楽しめるイベントだ。

当日は、午前10時から午後15時までの間に、須坂市を中心に北信地域から大人、子ども合わせると100人近い来場者が訪れた。


小池さんの想いに賛同し、ワークショップを提供する作家にインタビュー 

⚫︎エコバックのタイダイ染め体験を指導するSoluaさん
「普段の生活の中では、汚してはだめといわれる子どもたちが、目をキラキラさせて自分の色を作るこの体験を、楽しんでくれるんですよ。一人15分と短時間ですが、非日常を体験しているんです。私も、子どもたちの発想にハッとするので、学びになるんです」

砂をスプーンですくえれば、だれもが天才アーティスト

⚫︎グラスサンドアート作家のルリアンさん
「私自身に、絵を描くことに苦手意識があったので、カラーの砂を使ったこの表現方法を知ったらとっても楽しくて!また参加された方の『私にもできた!』という嬉しそうなお顔が見たくて、現在は、月に6~8回、長野県内各地でワークショップを開催しています。サンドアートは、砂をスプーンですくうことができれば、だれもが、自分だけの作品がつくれる天才アーティストになんです。子どもだけでなく、車いすの方や高齢者の方でも、自分を表現できるんです。作るたびに、心のもちようで使う色が変わってくるし、カラーセラピーとしてもいいんですよね。今後はデイサービスや、高齢者施設などでもワークショップを開いてみたいですね」

子どもたちに世界でたったひとつのオリジナルをつくる楽しい体験をしてもらいたい

⚫︎埼玉県から参加していたTippy Toesさんこと田幡有歌理さんは、オリジナルのブレスレッドをつくるワークショップと自作のアクセサリーなどを販売していた。
「『わーい、どれにしよう!』と目をキラキラさせて迷ってる子どもたちの姿が見たくて、いつも約500種類のチャームを用意しています。『好きなものを選ぶ』体験そのものが楽しい時間ですよね。なので、できるだけ頑張って保護者の方に『ダメ』と言われない値段設定を心掛けています」

長野にまだない、さくらねこTNRの活動を知ってもらうきっかけに

また田幡さんは、ワークショップの参加代金やグッズ販売の売上を保護猫活動の団体に寄付している。
「ワークショップに参加してくれた人たちに『殺処分ゼロを目指し、全国でノラ猫の不妊手術を無料で行うサクラネコのTNR活動などを知ってもらうきっかけになれば』と参加しています。主催のトマ子さんにもご理解いただき、ポスターをはったり、フライヤーや小冊子を配ったりしています」


⚫︎普段は、ハンドメイドアクセサリーなどを制作しているmi-croさん
子どもたち向けのワークショップならではの工夫として、①簡単にできること ②可愛いくて欲しいな、と思えるもの ③製作時間が5分程度、短時間でできること、できるだけ工程を短く、シンプルにしているそう。
「新聞紙エコバッグは、一度覚えると、家で作れるので、お母さんたちにも好評なんです」

参加者の声 : ものつくりって楽しい!屋内イベントは助かる! お母さんも満足、満足!

⚫︎「Instagramでサンドアートが体験できると知って、今日は中野市からやってきました」と話す松崎さん親子。7歳の碧空くんは学校でもサンドアートクラブに入っていて、「ものづくりが大好きだから、とっても楽しかった」とはにかみながら自分の作品をみせてくれた。

⚫︎9歳、7歳、2歳の男の子3人を連れて参加した長野市のKさんは「この季節、寒かったり天気が心配なので、屋内イベントは助かります。本当は私もつくりたいんですけど、なかなか・・・。まだ難しいですね。でも9歳、7歳の上の子たちは、武器づくりやオリジナルボールペンづくりなど自分たちだけで遊んでくれるから、2歳の子もできるハンドアートカレンダーが作れて、大満足です」

ボランティアの声: 『ありがとう』と直に言ってもらえることはうれしくて

ワークショップ会場は1階、2階と広く、ひっきりなしにおにぎりや唐揚げの注文が入るなどとても賑やかで忙しそうだったが、主催の小池さんやワークショップを担当する作家さん以外にも、大人一人、小中学生の子供たち10名が運営ボランティアとして参加していた。

⚫︎須坂市の中学2年生牧ひまりさんは「前に参加したとき楽しかったので、冬休み中も、またお手伝いできたらと参加しました。おにぎりも豚汁も大人気でとっても忙しかったけど、いろいろな人から『ありがとう』と直に言ってもらえることはうれしくて、頑張れました。これからも、じゃんじゃんやってみたいです」と笑顔で話していた。

主催者コメント: うまれ育った須坂への恩返しの気持ち。お母さんが笑っていたら、子どもも楽しい

⚫︎主催の小池鮎子さんは自身も子育て真っ最中。

「働くお母さん、子育てをするお母さんはみんなたいへん。みんな頑張ってる。だから、お母さんを応援したい。お母さんを笑顔にしたい。お母さんがほっとできる場所や時間をつくれたら、との思いが食堂やワークショップを始めた根底にはあります」

2023年から定期開催してきた「須坂みんなの食堂」は、2025年から会場を「あっぷさいくる蔵部」に移してリニューアルする。

「1階には、ダーツやビリヤード・卓球といった遊べるスペースがあるので、2階で食事をとった子どもたちは1階で遊んで、その間の大人は、ほんのひと時、珈琲を味わったり、いろんな話をする時間やスペースが確保できます。子どもやお母さんだけでなく、高齢者の方や一人暮らしの方など誰がきてもいい『みんなの食堂』です。ひとりひとりの個性は大事。だけど、ここはみんなの場所だから、迷惑をかけてはいけないよ。というルールを知っていく場にもなればと考えています。好きな人が、好きな人たちとつながっていけたらいいな。みんながほっとできる場所になったらいいな、と考えています。


誰が来てもいい「みんなの食堂」クラウドファンディングに挑戦!

イベント中は、注文がとぎれないこともあり、ずっと厨房でおにぎりをにぎりつづけていた小池さんが、筆者のインタビューに答えるために会場にでてくると、たちまち大人からも子どもからも「トマ子さん」「トマ子さん」と声がかかった。どの人にも温かい笑顔で応える小池さんと、大人もこどもも笑顔で楽しんでいる「みんなのワークショップ」は、すでにほっとできる「場」だと感じた。

会場の外は雪が舞いはじめ、寒さがいっそう増していたが、小池さんの2025年への熱い思いを、ぜひ聴いていただきたい。


1月17日から挑戦するクラウドファンディングはこちらから

須坂市で定期的に開催される「みんなの食堂」へ食材提供をしてもいいという個人や企業は 
ピースファーム代表小池さんへメールで連絡を。>>メールはこちらから

取材/執筆 ソーシャルライター大日方雅美