2025年1月14日、第1回目となる「パラ小学祭」が長野県東御市東御中央公園体育館で開催された(共同主催:「みんなの健康×スポーツ」実行委員会、田中小学校6年3組、認定NPO法人D-SHiPS32)。
東御市内の5つの小学校から5・6年生の170人が参加し、パラスポーツの学校・クラス対抗戦で熱戦が繰り広げられた。
東御市では令和3年度から市内小学校でパラスポーツの体験授業を開催。今年度はパラリンピアンで認定NPO法人D-SHiPS32代表の上原大祐さんがスペシャルサポーターとして協力し、5つの小学校と2つの中学校でパラスポーツ体験や講演等の授業を行った。
D-SHiPS32は、「障害者と健常者が体験を共有することで、子どもたちが夢を持って挑戦できる精神を育て、当たり前の事が当たり前に出来る社会を目指す」ことを目的に活動しており、2024年12月で設立10周年を迎えた。
東御市では2013年度から市内の障がい者当事者・家族や関係者、組織が一堂に会して「みんなの健康×スポーツ」実行委員会が設置され、誰もが身近でスポーツを楽しめる地域、そして共生社会の実現を目指して様々な取り組みを進めている。
授業を行った学校のうち、田中小学校6年3組の子どもたちから「普段、交流のない他校と交流試合をしたい」「一緒にパラスポーツを楽しみたい」という強い希望があり、上原さんと「みんなの健康×スポーツ」実行委員会がそれに応える形で開催に至った。
田中小学校の子どもたちが司会進行してイベントがスタート。各競技のルール説明も子どもたちがデモンストレーションをしながら話す。
開会式が終わった後は、第一体育館と第二体育館のふたつの会場にわかれて、ボッチャと車いすポートボールの対抗戦が行われた。
すでに授業で体験している子どもたちの中には、車いすの扱いに慣れている子も多く、試合は好プレーが続いて大白熱。見守る子たちの声援にも力が入る。
イベントで使用したスポーツ用車椅子のうち、D-SHiPS32が所有する8台は現在東御市に寄託されている。また、東御ライオンズクラブからもこれまで3台のスポーツ用車いすの寄贈があった。パラ小学祭開催にあたり、足りない分は長野県スポーツ振興課から借りて台数を確保したそうだ。
参加した子どもは「チームのみんなと協力してできたことがよかった。みんな楽しめるスポーツで、またやりたいと思った」と感想を話した。
閉会式で上原さんは「パラ小学祭第1回を東御でできたことを大変嬉しく思う。(今日参加した)みんなが長野県や全国のいろいろな小学校に広めていくアンバサダーになって、一番初めに体験したみんながこの楽しい輪を日本全国に広めて欲しい」と結んだ。
東御市文化・スポーツ振興課の高橋則幸課長は、「パラスポーツの体験だけでなく、そこから障がいがある人の大変さについて考えるきっかけになり、誰もが暮らしやすい社会に繋がっていく。ぜひ東御市だけでなく、他の地域も含めて長野県全体で機運を高められるといい」と語る。
子どもと大人、行政とNPOと地域の人たち、それぞれの協力があって開催された今回のパラ小学祭。記念すべき第1回目の開催を受けて、「パラスポーツの楽しさを広めたい」という熱い想いが長野県内の他地域にも広がっていくことを期待したい。
スポーツ用車いすの貸出しやパラスポーツ体験に関する問合せは、D-SHiPS32まで。
取材/執筆 ソーシャルライター 粟津 知佳子